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  • 執筆者の写真別所 真佳

「手間かけて作ったものっていい。」 近江上布から学んだこと。

更新日:2022年7月5日



愛荘町に位置する近江上布伝統産業会館に行ってきました!!


大正時代に郡の役所として使用されていた素敵な建物


近江上布にまつわるアレコレと、職人さんたちのインタビューを中心に


私が感じたことも挟みつつ進めてまいります!!




近江上布について




では、早速近江上布について、、、


滋賀県は、周囲を山並に囲まれ、中心には琵琶湖を抱き、湿潤な気候・豊富な水に


恵まれた環境にあります。


その恩恵を十分に受け、室町時代から麻織物の産地とされ、彦根藩が献上品としていた


ほど上質な織物。


1977年に、絣(かすり)と生平(きびら)が伝統工芸品に指定されました。



純素朴な風合いをもつ生平の帯


近江上布の最大の魅力は、「麻」であるということ。


大麻は、薬物に指定されているため、育てることが難しい。


全国的に見ても麻織物自体の産地が少なくなっている中で、近江上布は手織りで制作さ


れているため、さらに珍しいのです。



日本らしい柔らかく優しい風合いを持つ絣の浴衣


よく献上品に使用されるのは


「苧麻(ちょま)」


という柔らかく繊細な材料。




対して、「麻」は


糸が太く網目が粗野なため


仕事着や日常着に使用される。




ここで、近江は


水にさらすと柔らかくなる麻の特性に


気づき、「苧麻」ではなく「麻」で献上


品を制作する。





、、、、、かっこいい!!!!


「右に倣え」と苧麻で献上品を制作するのではなく、麻で勝負する近江の覚悟。





麻だからこそ出すことのできる風合いを


麻でしか出すことのできない風合いを


是非手に取って感じてください!




生平を織るための原始的な地機である「腰機」





~織るを越えて~



では、つぎはインタビュー編です!!


最初にお話をお伺いしたのは職人の山口さん。



職人の山口さん

静かだけど、奥に情熱を感じるような目が印象的で、


マスク越しでしたが柔らかい表情で質問に答えてくださいました。



山口さんは近江上布伝統産業会館さんが2015年度から開始している「後継者育成プログ


ラム」の第一期生。もくもくと織っている姿から、長いこと近江上布に携わっている


方かと思いきや!!全く違う仕事をしており、子育てがひと段落したため、そのきっか


けから近江上布に携わるようになったそう。



すごいです、、、。!素敵です!!



糸の太さや織るものを変えることで、難しいことを少しづつ乗り越えていくことに


醍醐味を感じるとのこと。実際に使う人の「嬉しい」を考えて作っているということを


とても感じました。





~手織りがやっぱり好き~



お次は、山口さんと同じ時期に後継者プログラムに参加した向井さん。


職人の向井さん


芸大の染織科に通っていたという向井さんですが、着物業界の低迷から別の職種に


就きます。何年か働いたあと、


「やっぱり手織りがしたい!」


という思いがこみ上げてきて、このプログラムに出会ったそうです。