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  • 執筆者の写真別所 真佳

美の集大成!!うっとりする輪奈ビロード

更新日:2022年7月5日


美しい柄、美しい素材、あったかい不思議な手触り、、、。


「美」の集大成なのでは?と思わずうっとり。



今回は輪奈ビロード(わなビロード)について紹介します。


長浜の地で、代々輪奈ビロードを受け継ぐタケツネさんにお話を伺いに行ってきました!




ガッシャンガッシャンガッシャン、、、。

織機の正確なリズムが私たちを出迎えてくれます。






とんでもなく細かい手作業に基づく美


「こだわりは、【輪奈】そして【羽毛】の綺麗さ・手触りの良さ。


輪奈の切り方ひとつで羽毛の綺麗さが変わります。」


と話してくださったのは、温かい雰囲気に包まれた武田さん。



【輪奈】と呼ばれるループによって柄が織られていくのが輪奈ビロード。


このループの先端を手作業でカットしていくことによって


凸凹ができ、軽くて暖かくフワフワとした輪奈ビロードらしい特徴が生み出されます。

輪奈を切ったところが濃くなっていることが分かります。


切った糸は毛羽立つため、染めると一番濃くなるのです。





美しい柄の秘密


この柄を織るための芯材を、生地を織りながら一緒に織り込んでいきます。


軽くて丈夫な芯材は、柄ごとに違ってきます。


え?芯材と生地を一緒に織り込むって、、、


簡単に言いますけど、職人さんの熟練した技術の賜物に他ならぬのです!



冷暖房がない部屋でガシャンガシャンと大きな音が響く織物と向き合い


何千本という糸を確認しながら丁寧に丁寧に織っている姿が


とてつもなくかっこいいんです。思わず圧倒された私たち。しびれました、、。



この写真は、一緒に織り込んだ芯材をひとつひとつ生地から抜いているところ。


なんと1反の中に約15,000本入っているとか。



抜く速度が重要で、早すぎると芯材が溶けて糸に絡まったり、


芯材の先が引っかかってしまい生地に傷がついてしまうそう。


一定の速度で傷がつかないように一つずつ丁寧に抜く作業はまさに職人技。


またしても圧倒する私たち。


思いを込めてつくられていることが工程の端々から感じられます。





輪奈ビロードを未来に



「一昔前は、長浜に多くの織機があり栄えていたのですが、衣料用の輪奈ビロードを作って


いるのがここだけになってしまったんです。」と武田さんは話します。


続けて、


「うちがなくなってしまったら、伝統がなくなってしまう。輪奈ビロードを未来に


繋げたい、そんな想いから継ぐことを決心しました。」と。


絹100%で作られる美しい織物を知ることができる・見ることができる有り難みを


ひしひしと感じました。


「輪奈ビロードが長浜で作られている、ということをまずは知ってほしい。


時代の変化に合わせ着物だけでなく、マスクや定期入れ・名刺入れ・帯締めを


制作し、多くの方に知ってもらえるきっかけを作ろうと頑張っています。」


と武田さん。



美しい、、、、、、やはり惚れ惚れします。


実際に触っていただきたいのです。この不思議なあったかく美しい織物を。




話を聞かせていただく中で印象に残ったことがあります。


それは、時代が変化しても伝統はブレないということ。


素材や工程は、携わる方々によって大切に受け継がれていき、


次の世代に繋ぐという熱い想いが現在の輪奈ビロードを支えている。



どんなに時代が変わっても、変わらないものがある。


それがどんなに大事なことか、体感することができました。